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中国本土の債券市場


■中国本土の債券取引市場

市場設立年 1988年~

1992年~

1997年~

債券取引市場

①店頭取引市場

(銀行支店の窓口)

②証券取引所債券市場

(上海証券取引所と深圳証券取引所)

③銀行間債券市場

(CIBM)

売買方式

銀行窓口での

相対売買(OTC)

     ・取引所取引

     ・オークション方式

※顧客は証券取引所会員を通じて売買

    ・店頭取引(システム経由)

    ・マーケットメイカー(気配値提示)方式

取引債券の種類

個人向け国債

主に上場債券

   ・国債現物 (国債)

   ・国債レポ

   以上で全体の99%

   ・社債 (企業債と公司債)

非上場債券

   ・国債、地方債、金融債

   ・社債 (CP、MTN、企業債)

管理窓口 不明

・証券取引所(上海/深圳)

・中国銀行間市場交易商協会(NAFMII)

 →業務ライセンスの付与権限を有す。

 

監督当局  

・中国証券監督管理委員会(証監会/CSRC)

・中国人民銀行(PBOC)の金融市場司

 →実質的な監督機関。

主な市場参加者

※基本的に中国本土

ほぼ個人顧客

運用会社

・商業銀行(約60%)

・ファンド(約15%)

・保険会社(10%弱)

発行実績

(2015年)

不明 2兆元 (8%) 22兆元 (87%)
流通市場      

 

■中国本土の債券市場

 国際決済銀行(BIS)によると、中国本土の債券市場規模は2番目(2019年3月末時点)です。以下、各国の本土(オンショア)の金額となります。オンショア(本土のみ)なので中国には香港の債券市場は含まれない。

順位 国名 合計(10億米ドル) 国債 金融機関発行の債券 非金融機関発行の債券
1 米国 41964 18996 16345 6407
2 中国 13652 5247 5132 3273
3 日本 12413 9192 2460 761
4 英国 5885 2772 2597 512
5 フランス 4605 2280 1635 690
6 ドイツ 3528 1785 1547 195
7 カナダ 3240 1210 1456 573
8 イタリア 3154 2244 751 159

 BISによれば、中国本土の債券市場は約1450兆円規模(107円/米ドル 換算)であり、うち国債は560兆円、金融機関発行の債券は550兆円、非金融機関発行の債券は350兆円となります。中国については、以下の通りだと思います。

・国債:中央政府と地方政府(省)などの政府系組織の発行債券が対象

・金融機関発行の債券:中央銀行(中国人民銀行)、国有政策銀行(3行)、国有商業銀行、ノンバンク系金融機関などの発行債券が対象

・非金融機関発行の債券:CP・MTN(中期手形)・社債・企業(エンタープライズ)債などが対象

 

■本土内外での中国人民元建て債券の種類

発行場所

中国本土内 (オンショア)

中国本土外 (オフショア)

債券の名称

本土債

パンダ債 (猫熊債)

点心債 (@香港)など

発行通貨 人民元(CHY) 人民元(CHY) 人民元(CNH)

市場規模

※2018年12月末

※15.8円/元で換算

約76兆元 (約1200兆円)

※米・日に続く第3位の市場規模

約0.31兆元 (約5兆円)

約0.41兆元 (約6.5兆円)

※点心債に限定

発行体

※資金調達側

中国居住者

(中国国内の銀行/企業等)

中国非居住者

(外国企業等)

中国居住者

中国非居住者

投資制限

※資金提供側

なし

※2016年の中国インターバンク市場開放により

なし

※2016年の中国インターバンク市場開放により

なし

※ここでの中国本土には、台湾、香港、マカオは除かれます。人民元は流通市場によってCHYとCNHの2種類に区別されます。

 中国本土外(オフショア)発行の人民元建て債券は、発行場所ごとに愛称があるので以下に整理します。2015年には、みずほ銀行がTOKYO PRO-BOND Marketにて初の中国本土外人民元建て債券(富士山債(フジヤマ債))を発行しています。

本土外(オフショア)の発行場所 香港 台湾 日本 シンガポール フランス ドイツ ルクセンブルク 南アフリカ
人民元建て債券の愛称 点心債 宝島債 富士山債 獅城債 凱旋債 ライン債 シェイゲン債 レインボー債

 

■中国本土内の中国人民元建て債券の種類

 2019年3月末、中国本土の人民元建て債券は1450兆円に達しています。各カテゴリーに対する発行主体は以下のように異なります。

分類① 分類② 分類③ 発行体 メモ

中国本土居住者

の発行債券

公共債 国債 ・中国政府(財政部) 1982年に国債発行を再開
地方政府債

2011年以降

・上海市、浙江(セッコウ)省、広東省、深圳市

2013年以降(追加)

・江蘇省、山東省

2014年以降(追加)

・北京市、青島(チンタオ)市、寧夏回族自治区、

 江西省

2009年以前:予算法により発行禁止

2009年以降:財政部による代理発行開始

2011年以降:一部の地方政府に容認

2013年以降:一部の地方政府を追加容認

2014年以降:一部の地方政府を追加容認

政府保証債

・中国鉄道会社(旧鉄道省)

・中央匯(かい)金公司

 
金融債 政策性銀行債

政策性銀行は以下の3行です。

・国家開発銀行(CDB)

・中国輸出入銀行(CHEXIM)

・中国農業発展銀行(ADBOC)

※中国政府が出資

 
商業銀行債

4大国有商業銀行は以下の通り。

・中国工商銀行(ICBC)

・中国建設銀行

・中国農業銀行

・中国銀行

以下を加えて5大

※いずれも上場企業です

 
ノンバンク債

・企業財務会社

・金融リース会社

・証券会社

・保険会社

 
社債 CP/SCP    
  MTN    
  私募債    
  企業債    
  公司債    

中国本土非居住者

の発行債券

       
  国債 地方政府債 政策金融債

金融債

譲渡性預金(NDC)

※金融債の一種

社債 その他
発行主体 

中央政府

※中国財政部

地方政府(省など)

■3大政策銀行

国家開発銀行

 (CDB)

中国輸出入銀行

 (CHEXIM)

※台湾にも同名の銀行

 があるので注意。

中国農業発展銀行

 (ADBOC)

※いずれも非上場で、

 中国政府100%出資。

■4大国有商業銀行

中国工商銀行

中国建設銀行

中国農業銀行

中国銀行

 ※中国最古(1912年)の銀行

 ・交通銀行

以上5行を中国5大銀行で

あり、日本支店もある。

※いずれも上場銘柄。

銀行 中国企業  
構成比率              

累積構成

比率

             

 中国の銀行と言えば、通常は商業銀行を指すようです。中国5大銀行、八行五保、という言葉があります。

参考①:中華人民共和国の銀行の一覧

 

■日系銀行によるパンダ債発行について

 2018年1月、日本のメガバンク(MUFGとMizuho)は初めてパンダ債を発行した。

三菱UFJ銀行の最初のパンダ債発行

みずほ銀行の最初のパンダ債発行