■TAMRON B01Nの購入_20180728
2018年7月21日、ネット通販(Amazon)でTamron製の望遠等倍マクロ単焦点レンズであるTAMRON B01Nの中古品を53800円(税込)で購入。ただし、中古品のうち「専用三脚座」も付属される商品を狙って購入したため、専用三脚座を除くレンズ本体(と丸形フード)の価格は4万円台前半と思われる。
望遠等倍マクロ単焦点レンズ(TAMRON B01N)と付属品(丸形フード及び専用三脚座)
望遠等倍マクロ単焦点レンズ(TAMRON B01N)の拡大。
丸形フード装着時の望遠等倍マクロ単焦点レンズ(TAMRON B01N)の様子。
丸形フード装着時だと「ライトバズーカ」(望遠端400mm前後・重量1kg前後の望遠ズームレンズ)と思われるくらい横長になる。
本レンズは2003年発売され、2016年12月に生産終了した。新品の在庫は少なく実勢価格で90,000万円前後であり、これは販売開始時の希望小売価格98,000円(税抜)と差が小さい。一方、中古品であれば50-60%OFFと割安でお買い得だったので、専用三脚座付きの中古品を購入しました。
■TAMRON B01Nの仕様
項目 | 概要 |
発売日 | 2003年●月 ※販売終了:2016年12月 |
レンズのタイプ |
望遠等倍マクロ単焦点レンズ ※望遠・等倍マクロ・単焦点・レンズ |
対応する撮像素子 | フルサイズ |
対応マウント | ニコンFマウント |
レンズ構成 | 11枚14群 |
焦点距離 | 180㎜ ※単焦点なので焦点距離は固定 |
画角 | 14° |
フィルター径φ | 72㎜φ |
最大絞り(最小F値) (レンズの明るさ) |
F/3.5-5.6 ※ピントリング調整(撮影距離)により変化 |
最小絞り(最大F値) | F/32-51 ※ピントリング調整(撮影距離)により変化 |
絞り羽枚数 | 7枚 |
最短撮影距離 |
0.47m |
ワーキングディスタンス(WD) |
0.30m (レンズフード装着時) |
最大撮影倍率 (マクロ性能) |
1倍 (1:1) ※最短撮影距離において等倍 |
最大径φ×全長 |
84.8㎜φ×165.7㎜ |
重量 |
920g |
手ブレ補正機能(VC) |
VCなし |
標準付属品 |
レンズフード、レンズキャップ、ケース |
アクセサリー(別売り) |
専用三脚座 |
最大絞りはピントリングの調整によっても多少変化する。ピントリングは撮影距離に応じて調整されるが、この時に鏡筒内部のレンズが移動して最大絞りに変化を与えると思われる。
■TAMRON B01Nの正式名称の意味
Tamron製のTAMRON B01Nの正式名称は「SP AF 180mm F/3.5 Di LD [IF] MACRO 1:1 (Model B01N)」のようです。製品の仕様を細かく区別するためにTamronが独自に定義した用語で表現されます。各用語の定義を以下に調べました。
用語 | 定義・意味 |
SP | 高級レンズのリシーズで、スーパーパフォーマンス(SP)を指す |
AF | オートフォーカス対応レンズのシリーズ |
Di |
35mmフルサイズ対応のレンズ ※Di=Digitally Integrated Design |
LD |
特殊低分散(Low Dispersion)ガラスを施し色滲みを補正したレンズ |
IF |
レンズ内部のレンズ群を移動させてフォーカシング(合焦)するインターナルフォーカス(Internal Focus)方式のレンズ |
MACRO |
マクロ機能を備えたレンズ |
■望遠等倍マクロ単焦点レンズの意味
(1)等倍マクロとは
等倍マクロとは、カメラボディ内蔵の撮像素子(イメージセンサー)への被写体の最大投影サイズ(最大撮影倍率と呼ぶ)が等倍(実物と同じ大きさ)となるマクロ性能を意味する。普通のマクロの名を冠しないレンズの最大撮影倍率は0.2~0.3倍となることが多いが、マクロ機能を意識してクォーターマクロ(1/4倍マクロ)と呼ぶこともある。
マクロレンズが被写体を大きく撮る仕組みは、単に被写体に接近することである。重要なのは、ピンボケせずにかなり接近できるレンズ設計がなされている点である。最短撮影距離がピントが合う最も接近した距離であり、これ以上接近するとボケる。通常、この最短撮影距離における撮影倍率が最も大きい状態(=最大撮影倍率)となり、等倍マクロなら1倍、ハーフマクロなら0.5倍、クォーターマクロなら0.25倍となる。
マクロレンズと望遠レンズ、いずれも被写体を大きく撮影するという目的は同じですが、何が違うのか、以下に整理する。
レンズの種類 | 目的 | 何を | どうやって |
望遠レンズ | 大きく写す | 遠くの被写体・景色 | 焦点距離を伸ばす |
マクロレンズ | 近くの小さな被写体 | 接近する |
次にマクロレンズと望遠ズームレンズとで、最大撮影倍率と最短撮影距離の目安を示す。
レンズの種類 |
最大 撮影倍率 |
最短 撮影距離 |
他メモ |
望遠レンズ |
0.3倍弱 |
1.5m前後 |
ズームレンズの場合は、最大撮影倍率は望遠端にした時の値。 |
マクロレンズ |
0.5倍 または1倍 |
20-50㎝ |
基本的に単焦点レンズ。最短撮影距離はレンズの焦点距離に紐付く。 |
(2)単焦点とは
単焦点とは、焦点距離が固定されたレンズです。焦点距離が可変するズームと対義語である単焦点の場合には、被写体を大きく撮るには自分の脚で近づいて撮影することになる。
等倍マクロやハーフマクロは通常、単焦点が採用される。マクロ機能を上げるためにはズーム機能を捨てる必要があるのか、その原理上の理由は分からない。
単焦点レンズは焦点距離が一定なので自分が動く必要がありますが、その代わり得られるメリットについて以下に整理します。
説明 | ||
メリット① | 明るいレンズ |
単焦点レンズはズームレンズに比べレンズ構成が簡素になり、入射光の反射・吸収の要因が減り、撮像素子に届く光の量が多くなる。結果として、光の感度が高められる。 ※F値は焦点距離とレンズ有効口径の徐した値のため、レンズ枚数が少ないなどは関係がない。 |
メリット② |
(3)マクロレンズにおける焦点距離
マクロレンズの基本は単焦点であるが、採用される焦点距離には標準(50㎜前後)、中望遠(100㎜前後)、望遠(200㎜前後)の3通りがある。この採用する焦点距離の違いは画角なのですが、もう一つ重要な違いは最短撮影距離です。最短撮影距離とはピンボケさせずに、最も被写体に近づいた距離を指します。焦点距離が長いほど、最短撮影距離が長く、被写体から離れて等倍撮影できるようになります。望遠マクロレンズは、望遠とマクロの両方の方法で被写体を大きく写しているハイブリットとも言えます。
以下に最短撮影距離と焦点距離の対応関係について整理します。
焦点距離の 可変性 |
最大 撮影倍率 |
最短撮影距離 (焦点距離の目安) ※フルサイズ機の場合 |
マクロレンズの種類 |
ズームレンズ (可変) |
1倍 | - | 見たことない |
0.5倍 | - | 見たことない | |
0.25倍 (クォーター) |
30㎝前後 (70㎜程度の望遠端) |
標準クォーターマクロズームレンズ | |
単焦点レンズ (固定) |
1倍 (等倍) |
20㎝前後 (50㎜程度) | 標準等倍マクロ単焦点レンズ |
30㎝前後 (100㎜程度) | 中望遠等倍マクロ単焦点レンズ | ||
50㎝前後 (200㎜程度) | 望遠等倍マクロ単焦点レンズ | ||
0.5倍 (ハーフ) |
30㎝前後 (50㎜程度) | 標準ハーフマクロ単焦点レンズ | |
40㎝前後 (100㎜程度) | 中望遠ハーフマクロ単焦点レンズ | ||
60㎝前後 (200㎜程度) | 見たことない |
(4)望遠マクロレンズの利点
マクロレンズは被写体にピントを合わせたまま接近できることで、被写体を大きく撮影できると述べましたが、なぜ接近しないで大きく撮ろうとする望遠機能を強めたマクロレンズがあるのでしょうか。これは撮影時のシチュエーションを想像すると分かります。以下、そのメリットを列挙します。
説明 | |
メリット① | 接近すると逃げる対象(虫など)をより遠くから等倍撮影できる。 |
メリット② | 距離があり、撮影時に自分の影が対象に重なりにくい。 |
メリット③ | 距離があり、懐中電灯などで容易に光を挿入できる。 |
メリット④ | 観光地で柵などがあって接近できない場合に有利に働く。 |
その他 | 焦点距離が長い望遠だと、画角は狭くなる。 |
なおマクロレンズは基本として接近して撮影する方針ですが、通常のレンズと同様に風景などの遠くの撮影も可能です。
■レンズ鏡筒部の説明
本レンズは単焦点レンズなので焦点距離を調整できるズームリングは存在しない。ピントリング(フォーカスリング)、フィルターエフェクトコントロールリング、絞りリングの三つがある。
(1)ピントリング(フォーカスリング)
レンズ鏡筒部のピントリング(※AFの状態)
AFの状態:ピントリングを被写体側にスライドさせた状態
MFの状態:ピントリングをカメラ側にスライドさせた状態。
レンズ鏡筒部の中央部の細かな溝が入った幅広のリングがピントリング(=フォーカスリング)です。フォーカスモードはピントリングをスライドさせることで、AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)に切り替える。ピントリングの下のガラス窓に撮影倍率・撮影距離(ftとmの両方)が表示される。
(2)フィルターエフェクトコントロールリング
レンズ先端部の幅の狭いリングがフィルターエフェクトコントロールリング。
丸形フード未装着のTAMRON B01N。
丸形フード装着時のTAMRON B01N。
フィルターエフェクトコントロールリングは、レンズ鏡筒部の被写体側の先端にある幅の狭いリングであり、通常のレンズにはそれほど見られない珍しいリングです。そのメリットはその名の通り、レンズ先端に被せて使う円偏光フィルターを回転させやすくなることです。円偏光フィルターとは光を偏光によりカットすることで、水面の反射を抑えて水の中を見えやすくしたり、植物の葉の太陽光の反射を抑えて緑を鮮やかに見えるようにする、などできます。そして、そうした効果は円偏光フィルターを回転させることで調整されます。レンズに丸形フードを装着すると、円偏光フィルターが回転させにくいのですが、このフィルターエフェクトコントロールリングにより外からも回転させられます。いちいちフードを外す必要して円偏光フィルターを調整する必要はなくなります。
(3)絞りリング
絞りリング。
絞りリングを32に合わせた状態(不能状態)
レンズ鏡筒部のカメラ側の後方部(カメラとの接続部)にあるリングは、絞りリング(絞り環)です。近年のレンズには絞りリングは存在せず絞り値(F値)の調整はカメラボディ側でのみ行います。実際、私が撮影する際には全く使っておらず、なくても問題ないリングではあります。
絞りリングをマニュアルで調整しない場合には(つまり、カメラでのみ調整)、絞りリング上での最大F値である"32"(黄色文字で表示)に合わせた状態にしなければいけません。仮に絞り値を32よりも小さい値に合わせてしまうと、カメラ側での絞り調整が不能になるので注意が必要です。私も一時、カメラが壊れたのか…と思いましたが、そうではなく、絞りリングを所定の"32"に戻せばよいだけでした。
(4)絞りリングの調整の様子
絞りリングの値:F/3.5(開放F値)
絞りリングの値:F/5.6
絞りリングの値:F/8
絞りリングの値:F/11
絞りリングの値:F/16
絞りリングの値:F/22
絞りリングの値:F/32
絞りリングを手動でF/3.5(開放F値)~F/32まで調整すると、光を取り入れる穴の隙間が小さくなります。有効口径(=穴の大きさ)はF値(=焦点距離/有効口径)の定義から計算できる。有効口径から穴の面積を出せば、F値を一つ切り上げると光量がだいたい半減していく様子も分かる。F値を一る上げて同じ光量を得るならシャッター速度を2倍に長くする必要がある。
F/3.5 | F/5.6 | F/8 | F/11 | F/16 | F/22 | F/32 | |
有効口径 (=焦点距離/F値) |
51.4㎜ (=180㎜/3.5) |
32.1㎜ (=180㎜/5.6) |
22.5㎜ (=180㎜/8) |
16.4㎜ (=180㎜/11) |
11.3㎜ (=180㎜/16) |
8.2㎜ (=180㎜/22) |
5.6㎜ (=180㎜/32) |
有効口径面積 (相対比) |
2077㎟ (1.00倍) |
811㎟ (0.39倍) |
398㎟ (0.19倍) |
210㎟ (0.10倍) |
99㎟ (0.05倍) |
53㎟ (0.025倍) |
25㎟ (0.012倍) |
■TAMRON B01Nのその他の機能について
TAMRON B01Nは2003年販売開始で比較的古いため、近年発売されたレンズなら通常存在する「手ブレ補正機能」はなく、AF機能は存在するが「超音波センサーを用いた高速高精度のAF」ではない。