番号 | 語録 | 文献 |
001 |
■自由な時間を生み出す道具 炊飯器も洗濯機も掃除機も冷蔵庫も全て私が物心付いてから家に来たものばかり… 幼い頃、母は家事に忙殺されていました。一日の時間の大半が炊事と洗濯と買い物に使われていましたが、前記の家電が一つの家が来る度に、母の自由な時間が増えていったのを間近に見ています。本が好きだった母は自由になった時間で読書… 私が放送作家の仕事を始めた頃、…ワープロもないので原稿は全て手書きです。…ちなみに高校時代はコピー機なども殆どなく、学生たちは優等生から借りたノートを必死で書き写していました。今やそうした手間は一切ありません。 私達は一世代前の人達に比べて、比較にならないくらい自由な時間を得ている…つまり平均寿命が延びた以上に「長生き」していることになるのです。 |
『百田尚樹の新・相対性理論』 百田尚樹 |
002 |
■労働時間の短縮化 日本人の仕事量は年々減っています。1970年には1年の平均労働時間は2239時間だったのに、2017年は1721時間、何と518時間(▲23%)も少なくなったのです。2019年から順次施行されている「働き方改革」のため、労働時間はさらに短くなっていくでしょう。さて、この時間はどこに回されるのかー多くが「自分の楽しみ」です。 |
『百田尚樹の新・相対性理論』
百田尚樹 |
003 |
■感情の鈍麻は人生を短くする 「過去の時間」の体感は、「感動と記憶」にあるのではないか…。人生を振り返った時、そうした出来事が多かった時代は、「長い時間」に感じるのではないか…。逆にそうした出来事が多かった時代は「短い時間」に感じるのでは…。つまり「時間の濃淡」に差が出るのです。 似たことは道路を走っていてもあります。…風景が変わらない直線の高速道路を延々と走り続けると、しばしば距離と時間の観念を失います。つまり中年以降の人生が短いのと感じるのは、感動や驚きが減るからにすぎません。だから、中年になってから転職したり、起業したり、あるいは再婚したりすると、途端に「時間」が濃密になります。後に振り返った時、そのあたりの人生は非常に「長く」感じます。それは記憶に強く残るイベントが多いからです。 |
『百田尚樹の新・相対性理論』
百田尚樹 |
004 |
■時間感覚の不思議 楽しいことをしているときはあっという間に時間が過ぎる…楽しい時間は過ぎ去ってしまうと、その人の人生の中に大きな時間として残ります。…素敵な思い出を回想する時、これらの経験は長い時間の感覚として蘇る…。 一方、つまらない時間は感動や驚きは少なく、あれほど長く感じたのに、振り返ると記憶にも残らず、逆に短い時間となってしまいます。 私達が何かに夢中になったり、あることに心が奪われた時、体内時計が一時的に止まってしまうのではないかというのが、私の仮説です。…つまらない時間を過ごしている時の時間の速度を遅く感じるのは、自らの体内時計の針の動きをじっと見つけているからに他ならないのです。 |
『百田尚樹の新・相対性理論』
百田尚樹 |