■貯蓄・投資バランス
①経常収支≒貿易・サービス収支の場合 ※国際収支発展段階の第3段階(債務返済国)に相当
GDP恒等式から国民貯蓄Sは、国内民間企業(I)と外国(NX)への投資に使われる。
GDP=C+I+G+NX
↔GDP-C-G=I+NX
↔S=I+NX
国民貯蓄Sは、税金T(政府歳入)を介して民間貯蓄(GDP-T-C)と公的貯蓄(T-G)に分解される。
S=GDP-C-G=(GDP-T-C)+(T-G)
※Tは税金、GDP-T-Cは民間貯蓄(可処分所得-消費)、T-Gは公的貯蓄(財政収支)と呼ばれる。
ここで純輸出NXに注目するとNX=S-Iと表現される。右辺のS-Iを貯蓄・投資バランスと呼び、国内貯蓄から国内投資を差し引いたものであり、国内余剰資金と言える。つまり一定期間に生じる国内余剰資金が外国へ向かい純輸出となり、当該期間における「対外純資産の変化額」(対外純投資と呼ぶ)と一致する。
S-I=NX ※対外純資産の変化額=貿易・サービス収支=経常収支 ※①の場合
②経常収支≒貿易・サービス収支+第一次所得収支の場合 ※国際収支発展段階の第4~5段階(未成熟債権国~成熟債権国)に相当
GDP恒等式に経常収支における第一次所得収支を顧慮するとGNI(国民総所得)となる。GNI恒等式は以下の通り。
GNI=GDP+第一次所得収支(PI)
=(C+I+G+NX)+第一次所得収支(PI)
第一次所得収支を含む国民貯蓄をS'とすると、同様の式展開により貯蓄・投資バランスは次のように表される。
GNI-C-G=I+(NX+第一次所得収支)
↔S'=I+(NX+第一次所得収支)
↔S'-I=NX+第一次所得収支
■経常収支均衡
経常収支黒字 | 経常収支均衡 | 経常収支赤字 | ||
経常収支 |
純輸出(貿易・サービス収支) | NX>0 | NX=0 | XN<0 |
対外純資産の変化額 | 貯蓄・投資バランス | S-I>0 | S-I=0 | S-I<0 |