■従来型の支店営業マンは消滅
大手証券会社の全国支店に持つ営業マンは消滅する。本社から指示される商品を販売し、ノルマ達成に奔走し、回転売買による販売手数料を稼ぐビジネス形態は金融庁からも不適切だと指摘されている。今後、営業マンは長期的な資産運用アドバイスを中心としたストック型の営業スタイルに代わる。その際のライバルは大手証券支店営業だけでなく、IFA(独立系金融助言会社)も含まれる。証券会社の支店は管理職が営業マンの指導・管理(詰める)のために存在し、顧客のためではない。新興のIFA等では実店舗を最小限に抑えることで、コスト面で大手証券と戦える。
■大手証券は商品製造と付加価値提供
大手証券のリテールが消滅し、残る機能は商品製造(ファンド組成や債券発行業務など)、市場・企業調査などのリサーチ業務、新興IFAと同様のコンサル業務、顧客の資産管理業務(カストディ業務)である。また大手証券傘下の運用会社(アセマネ)は新興IFAと業務提携を進め、親会社に縛られずファンドを提供する状況へ徐々に進むだろう。
■収益構造の変化に伴うノルマ主義の廃止
販売手数料の無料化、利益相反などの観点からノルマ制が廃止され、詰める文化は衰退する。その前提として、収益の大半が販売手数料などのフロー型から、預け入れ資産に連動した信託報酬などのストック型に移行する。米系証券では収益に占めるフロー収益(手数料収入)が約10%前後、日系証券では約70%前後と、米系証券の方が株価等の市場動向に左右されない収益構造へのシフトが進んでいる。