■長期停滞論とは
長期停滞とは、国際金融危機(2007年~2009年)を契機とする、先進国を中心とした低(名目)金利・低インフレを特徴とする低成長経済の継続を指し、保有する供給能力を最大限に発揮することができない状態を指す。
直近の長期停滞論(Secular Stagnation)の火付け役はローレンス・サマーズであり、原因に需要不足を指摘。クルーグマンやブランシャールも同様の指摘をしている。
■長期停滞の原因
長期停滞論の原因には、供給サイドと需要サイドの双方の影響が考えられるが、現在は特に需要サイドの原因(需要不足)によるGDPギャップのマイナス幅の拡大が言われる。供給能力は設備投資などで一旦引き上げると容易に下げる調整はできず、短期的にはほぼ固定された状態と考えてよい。
GDPギャップとは、供給能力を表す潜在GDP(y*)と、実際のGDP(y)を比較したもので、(y*-y)/y*=1-y*/yとして表される。需要旺盛で供給能力を完全に稼働させた状態で達成されるGDPが潜在GDPであり、最大値である。需要不足の場合、潜在GDPまで余裕があり、GDPギャップはマイナス圏に落ち込む。
長期停滞論では、景気サイクルを表すGDPギャップのマイナスに加えて、GDP水準自体が本来あるべき水準よりも低いことを問題視する。
①バブル発生と崩壊
②金融機関の健全性の毀損
③貿易収支の不均衡(新興国の貿易黒字)
④人口減少と高齢化による人口動態の変化、人口オーナス局面
⑤所得格差の拡大
⑥グローバル化による物価下落
⑦娯楽コストの低下
⑧高額耐久性資産(自動車等)の充足