①-3:ISO感度の違い


■夜明けの富士山を撮影

 2019年7月1日の朝4時前(3:52~3:54の2分間)、河口湖の「富ノ湖ホテル」から撮影した富士山を題材にISO感度の違いをご紹介します。なお、今回は手持ち撮影なので、設定調整後に撮影するたびに構図が僅かにズレていますが、気にしないで下さい。

優先項 ISO感度 800 1600 3200 6400

12800

※6400に対して約1段階増感

25600

※6400に対して約2段階増感

調整項① SS(秒) 1.3秒  1/1.6秒 1/3秒 1/6秒 1/6秒 1/15秒
調整項② F値  2.8 2.8 2.8 2.8 2.8 2.8
露出(露光) - 0 0 0 0 0 0

 優先的にISO感度を変更すると、他の調整項であるSS(シャッタースピード)とF値(絞り値)を調整します。F値は最も光を取り入れられる開放F値(最小F値)に設定し、それでも適正露出を得られない場合にはSSを低速にしています。ちなみに、ISO感度が6400と12800で、SSが1/6秒と同じですが、これは6400に対して増感という風になっており、増感方法が6400以下とは異なることが原因なのかな…と思っています。写真の下にある明かりは、道路の外灯です。

 撮影機材は、Nikon製のフルサイズの一眼レフデジカメ(Nikon D610)に対して、Tamron製の標準ズームレンズ(TAMRON A09NII)を装着しています。標準ズームレンズの焦点距離は広角端(28mm)に設定し、手持ち撮影しています。

(1) 全体写真 (クロップなし)

ISO=800

ISO=1600

ISO=3200


ISO=6400

ISO=12800

ISO=25600


 上に並べた画像から分かるように、画像サイズ(500px × 300px=15万画素)を小さくweb掲載であれば、ISO感度の引き上げの影響はあまりないようです。

 

(2) 拡大処理 (クロップ後)

ISO=800

ISO=1600

ISO=3200


ISO=6400

ISO=12800

ISO=25600


 上に並べた一部拡大処理した写真は、ISO感度引上げに伴ってノイズが目立つようになります(なお、画像サイズは同様に500px × 300px =15万画素としています)。このことから、ISO感度の引き上げが気になる状況は、写真プリントや一部を拡大(クロップ加工)して利用する場合となります。そうした使途ならば、ISO=100など低くして、その分、SSが長くなる(低速シャッター)と思いますが、ブレ対策として三脚を使うことになるかと思います。

 

(3) 露出補正処理

 画像データが暗い場合には、専用ソフトウェアを使って露出補正を行います。ISO感度の引き上げは、露出補正後の品質にも影響を与えます。以下、ISO=800とISO=25600の場合で、露出補正なし(0)、+1.5、+3.0の場合を並べて比較します。

①ISO=800の画像を露出補正

露出補正=0

露出補正=+1.5

露出補正=+3.0


②ISO=25600の画像を露出補正

露出補正=0

露出補正=+1.5

露出補正=+3.0


 画像データを事後的に補正するのであれば、ISOを高く犠牲にしてしまうと、結構な差が生まれます。