⑥-1:三脚と雲台の購入 (1)


■三脚と雲台の必要性の気づき

 一眼レフカメラを購入した当初(2018年7月1日)は"三脚"の利用を考えていなかったが、望遠ズームレンズ(Tamron A035N)や望遠マクロレンズ(Tamron B01N)を用いる際の"ブレ"が気になり始め、振動を抑えることができる三脚の必要性を感じ始めました。以下に説明するようにある程度は、高速シャッターで対策可能ですが、高速シャッターできない条件下においては三脚が必須となります。

 

(1) 望遠撮影時のブレについて

 シャッター速度が同じ撮影設定でも、画角の広い(=焦点距離の小さい)"広角ズーム(または標準ズーム)"のレンズに比べて、画角の狭い(=焦点距離の大きい)望遠ズームレンズでは"ブレ"の影響が増します。望遠撮影時には、光学ファインダーで眺めている際にも自身の呼吸による体全体の動きや、腕の細かな震えが無視できないことが分かるでしょう。

 三脚を使わない"手持ち撮影"で"ブレ"が気にならないシャッター速度(単位は秒)の目安としては、単位の矛盾は無視して、1/焦点距離(mm)とされます。例えば、焦点距離400mmならばシャッター速度は1/400秒は欲しいです。一方で、焦点距離50mmの標準レベルではシャッター速度は1/50秒程度の低速シャッターでもブレは気にならないということです。 

参考:ブレの種類と対策の種類 ※望遠撮影時

ブレの種類 説明

対策①

高速シャッターを切る

対策②

三脚の利用

対策③

手ブレ防止機能

対策④

フラッシュを焚く

①被写体ブレ  撮影する被写体の動きに伴うブレ
②手ブレ 撮影者の動きに伴うブレ
③カメラブレ

カメラ内部のシャッター機構の動き

(例えば、ミラーアップ)に伴うブレ

 ブレの種類①~③において、対策①の高速シャッターを切ることは全てに通用する最善の策です。ただし、高速シャッターを切ると、適正露出を得るために、例えば、ISO感度やF値(絞り値)を犠牲にする必要があり、F値の制約(最も明るい開放F値はレンズごとに異なる)を考えると、柔軟に対応可能な変数としてはISO感度となるでしょう。高速シャッターにしてISO感度を高めて適正露出にしたとしても、その分、ノイズが発生します。ノイズの発生は、撮影画像のクロップ(切り取り)による拡大や色調補正などのデジタル加工をする際に綺麗な写真を作りにくくなるデメリットがあります。

 対策②の三脚の利用は、②手振れ対策であり、ミラーアップ撮影などと組み合わせれば③カメラブレ対策としても役立ちます。

 対策③の手ブレ防止機能は、レンズやカメラ本体に備わっている機能であり、最近発売されている機種に見られます。こちらは手持ち撮影時に多少の低速シャッターでもブレを防ぐことを目的としており、三脚と併用するわけではありません。あくまでも手持ち撮影の利便性向上のための手ブレ防止機能であり、むしろ、三脚を使う際には手振れ防止機能をOFFにしないと、逆にブレが発生するような代物です。

 対策④のフラッシュを焚くことは、一般的には実質的なシャッター速度を1/10000秒以上の高速にすることが可能ですが、望遠撮影時においては遠方にいる被写体に十分にフラッシュが届かず、そうはなりません。また、望遠撮影でのフラッシュでは手前だけ明るく、奥は暗くなるため写真の見栄えは良くはないでしょう。

 

(2) マクロ撮影時のブレについて

 マクロ撮影時にもブレは気になります。"望遠撮影"が遠くの被写体を大きく写すのに対し、マクロ撮影は接近する(最短撮影距離が短い)ことで被写体を大きく写し、顕微鏡のように小さな部分も見えるようになります。望遠撮影が画角が狭いことで発生するブレの増大であったのに対して、マクロ撮影は被写体に接近することで画角に収められる被写体面積が狭まり、細かな部分が見えることで発生するブレの増大となります。

 

(3) 意図的に高速シャッターをしない場合

 上述したように、ブレ対策の最善策を高速シャッター(一般には1/250秒より短いシャッター速度)を切ること…と言いましたが、それを使えない場合もあります。つまり、あえて低速シャッターにすることで"魅せるブレ"を作り出す場合です。レンズの種類を問わず、低速シャッターにすればブレは発生しやすくなります。具体的には、流れ星の撮影、稲光の撮影、打ち上げ花火の撮影、真夜中の川の蛍の光の軌跡の撮影、など撮影時間を5秒など意図的に長時間にする必要がある場合です。流れ星や稲光もジャストタイミングで撮影できる人はいないでしょうから、適当に撮影時間を長くして、その間、宝くじのように偶然に期待してそのイベントが発生する瞬間を待つわけです。以上のように、三脚を用いた低速シャッターによりブレの取捨選択を行います。つまり、"魅せるブレ"(被写体ブレ)を残し、"魅せられないブレ"(手ブレとカメラブレ)を排除する役割が三脚にはあります。魅せられる手ブレもありえなくはないですが極端な低速シャッターでは少ないでしょう。

 他の例として、被写界深度を深く(ボケをなく)したい場合です。望遠撮影やマクロ撮影では、ピントが合っている範囲(奥行)は非常に狭く、ピントが合う面の前後に被写体がずれたり、撮影者自身が動くとたちまちボケてしまうことがあります。奥行に関係なくボケを減らしたい場合、F値(絞り値)を高める必要がありますが、そうすると光量が減り、適正露出を維持するためにISO感度を高めるか、低速シャッターにする必要があります。以上のように、F値を高くする(=ボケをなくす)ために、三脚を用いて低速シャッターにすることがあります。

 

■三脚・雲台の購入のための調査

 ネットで三脚の種類を調べた結果、次第に求める条件が見えてきた。

 

確認ポイント①:耐荷重量

 三脚に載せる撮影機材の想定最大荷重量は、現時点ではカメラ本体(1kg)、望遠ズームレンズ(1.2kg)、2倍テレコン(0.3kg)、三脚座(0.3kg)をすべて接続した状態であり、合計3kg弱に達する。したがって、耐荷重量は最低でも3kgを要します

 今後、クリップオン型のストロボ(Nikonではスピードライトと呼ばれる)(1kg弱)を購入することがあるならば、最大で4kg弱にはなりますが、望遠撮影とストロボの併用は少ないだろう。また、私が持っているTamron A035Nの望遠ズームレンズ(望遠端400mm)は重量1.2kgですが、これは"ライトバズーカ"と呼ばれるカテゴリーであり、望遠端が600mmに達する"本気バズーカ"の場合には重量2kgになります。

 

確認ポイント②:脚のロック方式

 三脚の脚を伸ばした際のロック方式には、主に"ナットロック"と"レバーロック"がある。ナットロックはいちいち回すのが面倒で、ロックされているかが外観では分かりにくいため、レバーロックの三脚を選びたいと思います。

 

確認ポイント③:雲台のタイプ

 今まで"三脚"と"雲台"の違いをあまり意識していませんでしたが、その理由は市販される三脚に雲台部分も付属しているケースが多いからでしょう。実際には"三脚"と"雲台"は区別して考える必要がありそうです。"雲台"は、"三脚"と"カメラとレンズ"の間を仲介する部分であり、"三脚"が振動を抑えて支えるのがメイン機能(高さ調整もあり)であるのに対して、"雲台"はカメラの角度や平行移動や同軸回転をどれだけ厳密に自由に変えられるか…といった機能を求められるようです。主な雲台のタイプは以下の通り。

  • 3ウェイ雲台:2軸の回転方向と高さの調整により精密な調整ができます。
  • 自由雲台:ボールジョイントで簡単に方向を調整できます。

 ネット情報だけで考えると、自由雲台の方が使いやすそうだな…と感じましたが、三次元情報の再現性や厳密な操作調整という面でメリットが高そうでした。

 

確認ポイント④:クイックシューのタイプ

 雲台を調べると、さらに"雲台"と"カメラ(またはレンズ)"の中間に挟むクイックシューというパーツがあることが分かりました。これは、雲台とカメラの間の素早し取り外しが可能になる利便性向上のためのパーツであり、雲台の接続様式(規格)とカメラ側底部のネジ規格(1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♀ネジ)を仲介するものです。雲台の代表的な接続面規格にアルカスイス規格があります。したがって、クイックシュー(見た目は平たい接続プレート)として、カメラ側には『1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♂ネジ』、雲台側にはアルカスイス規格の接続面を有するタイプが考えられます。

 

 持っておくべきイメージとして、三脚~カメラ(レンズの三脚座)の間の接続構造は以下のようになっています。特に接続面の互換性をネット情報のみで確信することはかなり難しい印象でした。

地面からの高さ 撮影機材のパーツと接続面
トップ カメラもしくはレンズの三脚座
 接続面の規格

 カメラもしくはレンズ側(底面)は、1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♀ネジ

 クイックシュー側(上面)は、1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♂ネジ

接続部品① クイックシュー
 接続面の規格

 クイックシュー側(底面)は、例えば、アルカスイス規格

 雲台側(上面)は、例えば、アルカスイス規格

接続部品② 雲台
 接続面の規格

 雲台側(底面)は、〇〇

 三脚側(上面)は、〇〇

ボトム(地面側) 三脚

■三脚と雲台の購入:SLIK製 アル・ティム340 VIDEO

 ネット情報をもとに三脚(や雲台)を選ぶポイントは整理できました。一方で、三脚・雲台・クイックシューの関係性、組み合わせ、販売単位(三脚と雲台の抱き合わせ販売なのか、個別販売なのか)、互換性についての把握が非常に難しいことも分かりました。ですので、これはもう実店舗に行って確認する他なし思いました。

 2018年7月31日(火)の夕方、ヨドバシアキバに行き、結果として、その場でSLIK製の『アル・ティム340 VIDEO』の購入に至りました。

 本製品は2018年5月18日発売で、希望小売価格は36,000円でしたが、購入価格は26,730円(税込)でした。パーツ構成としては、三脚と雲台(SLIK製 SVH-500)が一体化したパーツと、クイックシュー(SLIK製 #6502)と、それらを収納する黒い専用ケースです。

ヤフーショッピング_アル・ティム 340 VIDEOの実勢価格

SLIK製の三脚(アル・ティム 340 VIDEO) ※三脚・雲台・クイックシュー・ケースの4点セット
SLIK製の三脚(アル・ティム 340 VIDEO) ※三脚・雲台・クイックシュー・ケースの4点セット
雲台(SLIK製 SVH-500)とクイックシュー(SLIC製 #6502)の拡大写真
雲台(SLIK製 SVH-500)とクイックシュー(SLIC製 #6502)の拡大写真
クイックシュー(SLIK製 #6502)の拡大写真
クイックシュー(SLIK製 #6502)の拡大写真

■SLIK製の『アル・ティム340 VIDEO』の解説

 本製品は一言で言えば『三脚』となるのでしょうが、厳密には三つの製品(部品)から構成されています。

・三脚の部分:調べた限り単品別売は確認されず。なお、SLIK製のA.M.Tシリーズとなります。

・雲台の部分:SLIC製のSVH-500実勢価格

・クイックシューの部分:SLIC製の#6502実勢価格

  パーツの価格を分解すると購入金額(税込)ベースで、26,730円=x(三脚部分)+12,600円(雲台部分)+3,380円(クイックシュー)となり、三脚部分の価格は約10,750円と見積もられます。 雲台と三脚座は同じくらいの価格ということが分かります。

 三脚・雲台の購入する上での確認ポイント①~④の観点から、『アル・ティム340 VIDEO』を見ていきましょう。

確認ポイント アル・ティム340 VIDEO
①耐荷重量 3kg
②脚のロック方式 レバーロック式
③雲台のタイプ 3ウェイ雲台
④クイックシューのタイプ アルカスイス規格
⑤総重量 1.8kg

 ここで携帯性に関する確認ポイント⑤として、三脚(その他部品含む)自体の"総重量"を加えた。

 このアル・ティム 340 VIDEOは、耐荷重量は3kg、脚のロック方式はレバーロック式であり、条件を満たします。想定最大荷重量3kg弱の積載できる"安定性"を持ちつつ、三脚(その他部品含む)自体の総重量は1.8kgと"携帯性"もぼちぼちでしょう。また、実店舗で実際に動かしてみると3ウェイ雲台にそこまで不便さは感じなかったので、三次元座標の再現性や位置調整の厳密な操作を重視して3ウェイ雲台にしました。

 次に、三脚~カメラ(レンズの三脚座)の間の接続互換性について以下に示します。

地面からの高さ 撮影機材のパーツと接続面
トップ カメラもしくはレンズの三脚座
 接続面の規格

 カメラもしくはレンズ側(底面)は、1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♀ネジ

 クイックシュー側(上面)は、1/4インチサイズ(細ネジ・小ねじ、1/4-20UNC)の♂ネジ

接続部品① クイックシュー (DS-30 クイックシュー 70mm)
 接続面の規格

 クイックシュー側(底面)は、アルカスイス規格(♂面)

 雲台側(上面)は、アルカスイス規格(♀面)

接続部品② 雲台 (SLIC製のSVH-500 ※DS-30クイックシュー70mmを含む)
 接続面の規格  雲台(底面)と三脚(上面)はSLIC製専用の接続面で一体化して販売しており、規格化された接続面ではない。
ボトム(地面側) 三脚 (単体販売なし。SLIC製のA.M.Tシリーズ)

 三脚と雲台(SLIK製 SVH-500)は一体化していて、別の三脚にも代用できるような統一規格とは言えないでしょう。雲台(SLIK製 SVH-500)とクイックシュー(SLIK製 #6502)については、アルカスイス規格で接続されます。クイックシュー(SLIK製 #6502)の上面中央には1/4インチサイズ(♂ネジ)があり、この部分でカメラ底部の同規格の♀ネジや、レンズの専用三脚座の底部の♀ネジに装着できます。したがって、カメラやレンズ専用三脚座にこのクイックシュー(SLIK製 #6502)を常時取り付けておくことで、雲台(SLIK製 SVH-500)に素早く簡単に装着できます。

 実はレンズの専用三脚座には1/4インチサイズ(♂ネジ)に加えて、アルカスイス規格にも対応しているタイプもありますが、その場合、クイックシューが必須ではなくなります。直接、専用三脚座と雲台を装着できるからです。ですが、装着のたびに高価な専用三脚座を摩耗させたくはないでしょう。したがって、基本的には専用三脚座には1/4インチサイズを介してクイックシュー(SLIK製 #6502)を付けて、クイックシュー(SLIK製 #6502)と雲台(SLIK製 SVH-500)を接合させる方が良いでしょう。

■クイックシューの構造

 クイックシュー(SLIK製 #6502)が、レンズ専用三脚座やカメラの底面に対して直接的に接続する部品となります。クイックシューの構造は以下のようになります。

①クイックシュー(上面と側面) ※レンズ専用三脚座やカメラ底面と接続する面

上面(1)

側面(1)

側面(2)


 クイックシューの上面には小ネジ(♂)があり、レンズ専用三脚座の底面やカメラボディ底面にある小ネジ(♀)と接続させることができます。側面を見ると、アルカスイス規格の独特の形状をしています。

②クイックシュー(底面) ※雲台と接続する面

底面(1)

底面(2)


 底面のネジはマイナスドライバーや10円玉で締めることもできますが、ツマミを上げて手で回すこともできます。高頻度でクイックシューを着脱したい場合には、ツマミを利用されやすいと思います。