⑨-2:外付けストロボ購入の判断基準


■外付けストロボ購入の動機の違い

 近年、国内カメラメーカー純正の高価な外付けストロボよりも、海外製(主にGodoxなどの中華製)の外付けストロボが低廉で、性能も悪くないのでおススメという評価が見られます。結論から言えば、海外製はマルチな機能に乏しく、「多灯発光」環境を低価格で実現したい…という方におススメである。一方、国内純正は発光モードが豊富でマルチな機能を試すことができ、「一灯発光」で多様な撮影表現を試したい、深めたい…という方におススメでしょう。 

 以下、海外製と国内純正のメリット・デメリットを整理しました。

  メリット デメリット 一言メモ
海外製 

①価格:低廉で複数個購入が容易

 →多灯発光環境が低価格で実現可能

①多機能性:乏しい

多灯同時発光の環境を

作りたい人向け。

目的が絞り込まれている

玄人向け。

②GN(発光量):対価格で見てGNが高い

③制御方法:電波制御

 →障害物を気にせず、リモート発光が可能

④冷却機構:優れる

 →再充電(リサイクルチャージ)が速い

国内純正  

①多機能性:豊富

多彩な発光モードがあり、機能面で様々な表現が

可能です。個人的にはマルチ発光モードは欲しい。

①価格:高い

 →多灯発光環境の実現には大金が必要

一灯発光の可能性を

深めたい人向け。

明確な目的がなく色々と

試したい初心者向け。

 

②GN(発光量):相対的にGNは小さい 

③制御方法:可視光(または赤外線)制御

 →壁などの障害物の位置次第でリモート発光
  が妨害される 

 国内純正のデメリット②に関して、Nikonのフラッグシップ機(最上位機種:SB-5000)の場合、GN=60弱(IOS感度100・照射角200mm)であり、海外製のGNと比べると低い印象です。

 一方で、国内純正のメリットは網羅的な発光モードにあり、一灯発光で色々な撮影表現を試したい方に適しています。ただし、Nikon製に関して、外付けストロボとカメラの組み合わせによって利用可能な機能の範囲が異なります。以下のリンクが参考になります。

・Nikon製 スピードライトとカメラの組み合わせ

 

■私の外付けストロボ購入の動機 (2018年10月時点)

 私は「一灯発光」でじっくり色々な発光モード(TTL調光撮影、FP発光(HSS撮影)、マルチ発光(リピーティング発光))を試したいので、それが実際に可能なのか…が私の判断基準となります。

 外付けストロボの製造メーカーは国内製と海外製に分けられ、国内製はさらに純正と非純正(=外付けストロボ専業メーカー)に分けられます。国内非純正メーカーであるNissin(ニッシン)では、マルチ発光(リピーティング発光)に対応していないこと、また、海外製のGodoxではTTL調光(外付けストロボ発光込みでの適正露出の自動調整)ができないこと等、発光モードの機能性に期待するなら私の場合「国内純正(Nikon製)の外付けストロボ」でしょう。

 

■国内純正(Nikon製)の外付けストロボ

 Nikon製の外付けストロボ(スピードライトと呼ぶ)のフラッグシップ機(最高位機種)であれば機能面で不満はないでしょう。自身が保有するNikon製一眼レフデジカメのD610(フルサイズでは下位機種)とD7200(APS-Cサイズでは上位機種)なので、こちらを参照すると、スピードライトの組み合わせで利用可能な機能の範囲が見えてきます。

 

①電波制御は利用可能か?

 実は電波制御可能なカメラ機種は、フラッグシップ機級(D5、D850、D500、D7500)でなければ利用できません。これは私も含めフラッグシップ機を購入していない多くの方にはハードルが高く、利用できないでしょう。つまり、基本的には、障害物の影響を受けやすい可視光(もしくは赤外線)を利用するリモート操作となるでしょう。

 

②発光モードの利用範囲の確認

 発光モードについては、私の保有カメラ機種(Nikon D610とNikon D7200)であっても、外付けストロボ(スピードライト)のフラッグシップ機(SB-5000)か、上位機種(SB910)であれば広くカバーされており、それ未満の機種ですとマルチ発光(リピーティング発光)に制限がかかりますので、この点だけは注意したいです。

 

③少し後悔したこと

 APS-Cサイズで上位機種のNikon D7200を購入(7万円強)したのは、"ミラーアップ撮影"ができる最低ランクの機種だったからでした。ただ、純正の外付けストロボで"電波制御"を利用したければ、もう一つ上の準フラッグシップ機ともいえるD7500(9万円弱)が必要となります。現在(2019年7月7日時点)、D7200とD7500の価格差は約1.5万円と割と僅差となっています。今なら、D7500を買うなぁ。

 D7200を購入した当時(2018年9月15日)は、D7200とD7500の価格差は3万円程度ありました。ですので、外付けストロボで問題となる電波制御を考えたとしても、やっぱりD7200を選んでいたでしょうね。

 

■動機と判断基準と対象メーカー

 私の勝手な印象を表にします。

ストロボ経験度 動機 求める条件 購入対象メーカー
0

外付けストロボは使わない、それよりもレンズが優先

- -
1

日中シンクロなどのため外付けストロボが必要、

まずは一灯でのストロボ撮影をものにしたい

多機能性・

安定性と品質・

サポート

国内純正

または国内メーカー

2

連射性能・多灯撮影など一部の機能が強化されたストロボが必要、

極端な話、機能はマニュアル発光さえできればよい

特定機能の強化・

低廉価格

海外製

(中華製)

 ちなみに、今の私はストロボ経験度は1です(2018年10月時点)。

■外付けストロボの性能評価項目

評価項目 説明
価格

カメラメーカ―(Canon製やNikon製など)の純正は高価とされ、サードパーティ製(社外製)は相対的に廉価とされる。サードパーティ製では国内ならニッシン、海外ならGodoxなどが廉価で有名で、Canon製とNikon製のカメラに対応している。高価な海外製(Profotoなど)もあるが、モノブロック型が多く、GNなどの性能比較も難しい。

発売日

上位機種になるほど一般的に高い性能だと思いますが、発売日が10年前など古い場合には今の基準でたとえ下位機種とされる商品の方が実は良い場合も見受けられる。ワイヤレスでの操作で電波式などは昔にはないので、その点は新しい機種の方が優れていると言える。

使用形態

・クリップオン型

→カメラの上部クリップに接続して利用するタイプ

・モノブロック型

→カメラに装着することを前提としないオフカメラ(カメラから離して)で利用するタイプで、フラッシュではなく定常光の設置によく見られるタイプ

・グリップ型

→手で持つグリップが付いているタイプ

 

今回は、よくある廉価なクリップオン型にしようかと思っている。

光源

・キセノンフラッシュランプ(キセノンガスの放電を利用)。

キセノンガスは可視光領域のスペクトルが太陽光のそれに近く、自然な光源(色温度として5500K前後)として利用される。閃光時間は非常に短い(最短1/30000秒など)。

ガイドナンバー

(GN)

ガイドナンバー(GN)とは、ある前提(ISO感度、照射角)での最大光量を指す単位です。

一般に、GN÷F値=撮影距離(m)の式で、フラッシュが適正な明るさになる距離を計算できる。

※GNの計算前提(特に照射角)が各社によって異なるので、前提を揃えて比較する必要があります。

例えば、ISO感度=100、GN=20、F4で使用すれば、被写体との距離は5メートルとなります。

 

クリップオン型はGNでの光量評価ですが、モノブロック型ではGNではなく消費電力量(Ws)で表示されるので、比較しにくいですが、一般的にはモノブロック型の方が光は強いです。

閃光時間

フラッシュ(閃光)は、フル発光(M1/1)になるほど閃光時間が長く、1/300秒~1/1000秒程度が多いです。一方で、フル発光でなければ1/10000秒~1/30000秒など非常に短い閃光時間も可能ですが、その分、発光量が1/128~1/256程度まで下がります。スウェーデンのProfotoのストロボでは1/80000秒とかもある。閃光時間はFP発光(高速スピードシャッター)の精度などに影響するのでは…と思うけど、どうなんでしょうね。

発光間隔

リサイクルチャージタイム(発光間隔)が速いと、連射しやすくタイミングの制約が減る。

実際に使い始めると、チャージが遅いなど不満が生じるかもしれませんね。

TLL自動調光

外付けストロボの自動調光にカメラのレンズを通してきた光量をもとに行うこと。このTLLモードでは、撮影時にテスト撮影と本番撮影の2度ほど発光しているそうです。人の目では発光は一回に見えるかもしれませんが。

マルチ発光

(リピーティング発光)

一度のシャッター(低速シャッターが多いのかもね)で、何度もフラッシュすることで動体が軌道上に姿を何個も写るような表現ができる。

FP発光(HSS撮影) カメラのフォーカルプレーンの縦方向のシャッターの場合、1/250秒より短いシャッター速度にするとスリット(先幕と後幕が同時に見える)の移動になり、それより高速シャッターだとスリットが写し出される。スリット以外は暗くなります。この問題はFP発光モードの設定ができれば最短1/8000秒の高速シャッターでも正常に撮影できるようになります。絶対に必要な機能です。
後幕発光 通常撮影では、先幕シャッターが動いた直後にフラッシュされるため、動体に対して過去の映像がくっきり写る。これでは自然な時間の流れに見えないため、それを解消するために後幕シャッターが動くのに合わせてフラッシュする機能がある。
バウンス

フラッシュは直接被写体に向けるよりは、白色の天井、壁に反射させて利用すると影が和らぎ自然な感じになる。そのためには、フラッシュヘッドが上下・左右に回転するタイプが必要です。GNは直接被写体に光を当てる際の値ですので、バウンスするとGNはかなり下がるので、それを見越して高いGNの機種を買いたいですね。

ワイヤレス

発光方式

ストロボをカメラから離して撮影する場合(=オフカメラ)での、ワイヤレス発光の方式です。

光学式と電波式があるが、近年、電波式が増えている。電波式は、光学式(可視光や赤外線など)よりも透過力に優れ、壁などの遮蔽物の影響を受けにくく、多数のストロボとシンクロしてフラッシュしやすいというメリットがある。

電源

クリップオン型では乾電池を2本、4本使うタイプが非常に多いが、一部に充電式のリチウムイオン電池を使うタイプが見られる。個人的にはカメラ同様にリチウムイオン電池がいいけど、業界のスタンダードはまだ乾電池なので、この点は妥協しないといけないかもしれません。